2年目で売上100億円の衝撃。マットレスD2C「Casper」の勝ちパターン

D2C(Direct-to-Consumer) 個人メモ

※本エントリーは私がTwitterで紹介した連続ツイートをまとめた内容が原型です。

 

Casperは2014年ニューヨークにて創業。立ち上げから2年で100億円という驚異的な売上高を叩き出し注目を浴びる。これまで$240M(約250億円)の資金調達を行なっており、投資家にも注目されているD2Cブランド。Casperももちろん次回ラウンドでは時価総額1000億円を超えてくるユニコーン予備軍でしょう。

 

※「D2C(Direct-to-consumer)」について詳しくはこちらにて解説しています。 FABRIC TOKYO社内でプレゼンしたD2Cに関する資料をSpeaker Deckで公開しました。 | MORILOG

 

Casperの面白いところが、自分たちのことを「顧客と繋がった初めての睡眠ブランド」と呼んでいること。「初めて」と言っているのは当時他社は顧客と直接接点を持たず小売に卸していたブランドで市場は溢れていたという裏返し。マットレスの販売会社とも言わず「睡眠ブランド」であることも大事な点。

別の言い方としてCasperは「睡眠を中心としたデジタルファーストブランド」とも言っている。顧客接点を直接持つD2Cのビジネスモデルの優位性をよく理解していると思う。睡眠トラッカーアプリや睡眠をサポートするチャットボットなどを開発。「睡眠」全般のIT企業としての側面も徐々に強めてきている。

Casper創業時に定義した顧客課題は「マットレスの買い物は複雑すぎて選べない」だった。創業者達は睡眠を徹底研究し、他社が寝る姿勢(仰向け、横向等)に併せて様々なラインナップを用意していたのと反対に、1つで複数の姿勢に対応できる製品を開発。絞ることで迷わせない商品戦略がヒットを生んだ。

 

Casperのマーケティング施策は2つで、まずインフルエンサー。NYに本社、LAに支社を作りインフルエンサーにCasperをオシャレに宣伝を依頼。今もなお多額の費用をインフルエンサーに支払っているという。立ち上げで大きな事業成長ができたのは、面白くないものをカッコよく魅せたというのもあるだろう。

マーケティング施策2つ目はSEO。CasperはSEOが相当強い。戦略的に検索キーワードからLPを一つ一つ丁寧に作り、Googleの検索結果で上位表示させている。以前あまりにも検索結果でCasperばかり出てくるため、ブロガー達に独占禁止法を指摘されるほど。(笑)今では他社も力を入れ順位は落ち着いている。

売り方もイノベーティブで100日間返品無料と10年保証を付けて心理的障壁を下げている。Casperが発明した「bed-in-a-box」という箱に圧縮してマットレスを入れる配送方法は物流コストの削減や効率化だけでなく、返品のし易さにも寄与。これらは店舗で押売りをされたくないミレニアル世代向き。

Casperも御多分に洩れずリアルな顧客接点作りに積極的で全米に200出店することを発表済み。店舗のほかトレーラーやポップアップを都心や郊外で実施し認知の獲得と体験を届けている。また紙雑誌「WOOLY」を発行し、睡眠やリラックスに関するコンテンツを発信。このあたりも「物売り」の発想ではない。

Casperは小売ビジネスでよくある「一度売ったら終わり」というスタンスではなく、ユーザーとともにプロダクトを改善していくというスタンスを貫いている。試作品デモに顧客を呼び、フィードバックを製品開発に生かしている。更に睡眠トラッカーアプリでデータ提供するモニター数はなんと1.5万人。

このようにCasper成功の最大要因は「D2Cというビジネスモデルを通じて顧客ニーズを徹底的に磨いてきた」だと思う。ミレニアル世代の購買行動は変化していて、品質とサービスにはうるさいしコストにも敏感。顧客データを元に高速でPDCAを回してきたのだろう。血の滲むような努力が垣間見れる。。

 

以上、超急成長D2Cブランド「Casper」についてのご紹介でした。

CasperについてはTakramさんのPodcastが詳しいので、時間がある方はこちらを聴くのがおすすめ。
D2Cスタートアップ解説「Casper」編 | Takram Cast

本記事はFABRIC TOKYOの創業者である森雄一郎が事業研究の一環としてTwitterでツイートした内容をまとめたものです。
D2C(DTC)ビジネスモデルについてツイートしているので、よろしければフォローください。
Yuichiro Mori 森 雄一郎 FABRIC TOKYO (@yuichiroM) | Twitter

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