スタートアップで働く20代若手にとっての資産形成(株?不動産投資?iDeCo?)

マジメな話 仕事の中で感じたこと
LINEで送る
Pocket

FABRIC TOKYOの社長の森雄一郎です。
2020年は週1ブログ更新を目標に掲げているため、日々焦りを感じております。果たして続くのか?

さて、最近若手社員から資産形成のことについて聞かれることがあったので今回はそれをネタにブログにしてみます。特にぼくが資産形成が既にうまくいって億万長者で金持ち、というわけでは決してないのではないのですが、起業と経営を通じてたくさんの成功者に会ってきたし個人的に学習もしてきましたので、そこから得た知見を今日は話せたら良いなと思っています。
なお、この記事は、スタートアップで働く20代若手を対象として書いています。

そもそも資産形成において、スタートアップ若手にとっての基本的な考え方のベースは

自己投資 >>>> 超えられない壁 >>>> 資産運用

だと、僕自身は思っています。

果たしてメディアが煽るほど、株式投資やiDeCo(個人型確定拠出年金制度)などは20代のうちから本当に必要なのでしょうか?

中途半端な金額を投資するぐらいなら自己投資に時間とお金を割いた方がよっぽど良い

そもそも資産運用と資産形成は違います。資産運用は今ある資産をどう増やしていくのかという考えで、資産形成はこれからどう資産を作っていくのか、という違いです。

資産にはいくつか考え方があるのですが、一般的には自分が保有する「金融資産」のことを指します。
家族から資産相続があったり、宝くじで1億円当選したり、暗号通貨で億り人になった、などよっぽどの特例でない限りスタートアップ社員に限らず20代の社会人には運用して大きなメリットがあるほどの金融資産はありません。仮に100万円を元手に投資を始めたとしても、利回り10%(比較的高い数字)で10万円で、時間と労力をかけた割に儲けが少ない、ということになってしまいます。投資というのは元手が多いほど有利になるという性質を持つため、例えば1,000万円用意できれば100万円、1億円あれば1,000万円の期待リターンとなります。

それなら、中途半端な金額を資産運用するぐらいなら、まずは自分自身がこの元手を稼げる状態になることに時間とお金を使った方が良さそうです。

「自分自身を資産と捉える」という考え方です。ここでは造語として「自分資産」と呼ぶことにします。スタートアップで働く20代の若手には、株や不動産などに投資するよりも、この「自分資産」を最大化することに投資する、つまり自己投資を積極的に行うことをおすすめしたいと思っています。

スタートアップ人材がやるべき自己投資とは?

自己投資といっても、具体的に何をすればいいのか?これは単純に3つに分解されます。

  1. ハードスキルを手に入れる自己投資をする
  2. ソフトスキルを手に入れる自己投資をする
  3. 上記2つを実現しやすくする環境へ投資をする

はい、3つだけです。とてもシンプルですね。
ハードスキルというのは、体系化されたスキルのことで、例えばプログラミングやマーケティング、財務や会計などのことです。
ソフトスキルは、ヒューマンスキルとも呼ぶようですが、対人関係や組織において発揮されるリーダーシップやマネジメント、コミュニケーションスキルなどです。ストレス社会である現代では、ストレスマネジメントなんかもソフトスキルに入ってくるでしょう。
ハードスキルとソフトスキルという武器を手に入れて、ビジネスマンとして選択肢を広げましょう。

スタートアップで忙しく働く20代若手にとって、ハードスキルとソフトスキルをどう上げていくのか、自己投資の例を示しましょう。

  1. ハードスキルを手に入れる自己投資をする
    ・身につけたいスキルについて本を読む(Amazon Unlimitedなら読み放題。ぼくは当時Book Offの100円コーナーで買い漁りました)
    ・プログラミングを身につけるために、プログラミングスクールに通う(オンライン可)
    ・簿記を勉強する(資格を取っても良い)
    ・勉強会、セミナーに参加する
    ・英語または中国語スクールで語学を学ぶ(オンライン可)
    ・長期休暇に語学留学に行く

    ここで間違ってはいけないのは、資格を取ることが目標になってしまうことです。ハードスキルは決して資格取得とはイコールにならないので注意が必要です。ここで手に入れるべきハードスキルというのは、このハードスキルが30代移行でも日々活用できるということであり、より多くの経験を自分にもたらしてくれることです。
    さて、続いてソフトスキルです。
  2. ソフトスキルを手に入れる自己投資をする
    ・人と違う趣味を持ち、突き抜ける(人と違う考え方を手に入れられる。ぼくにとってはファッションとテクノロジーでした)
    ・海外旅行に行き、知らない国で知らない人と出会う(上に同じく。ぼくは20代で40カ国くらい行き、各国で友人もできました)
    ・チームを率いる経験をする(スポーツやイベントなど。リーダー経験で虫の目ではなく全体を俯瞰してみる鳥の目を手に入れる)
    ・シェアハウスに住む、他人と共同生活をする(価値観を広げる。将来の仲間ができるかもしれない。ぼくは昔のシェアメイトと今働いています)
    など

    ソフトスキルとは、ハードスキルとは違い体系化されにくいヒューマンスキルのことを言います。人間力とも言いかえれるでしょう。経験がものを言う分野だと思うので、人よりも深く、人よりも多い経験値を持ちましょう。
  3. 上記2つを実現しやすくする環境へ投資をする
    ・職場の近くに住む(時間を手に入れる。できれば徒歩圏内)
    ・最新のスマホ、高スペックのPCを買う(言わずもがな)
    ・生活を自動化する家電などを買う(IoTデバイス、洗濯乾燥機、良い電動歯ブラシ、良いドライヤーなど)
    ・フィットネスに通う(健康な身体を手に入れる)
    ・情熱的な恋をする(照れ。)
    など

自己投資に終わりは無い、が一旦の区切りは?

自己投資には終わりはありません。20代で自己投資が終わるわけはなく、30代以降も当然継続することになります。
しかし、上記のようなアクションプランをこなせれば、間違いなく自己投資の成果を肌で実感できるようになるはずです。一旦の区切りをあえて定義するなら、周囲の10名の友人や同僚と比べて、自分が1番であると言えるスキルや知識量、経験値などが2つ3つと出てきたとき。これで自分は周囲に比べて差別化されユニークな人材になったと言えるわけです。
ここまで来ると自分に自信を持てるようになるし、自分のことを自分で承認できる自己受容が進み、精神的にもタフな人間になれると思います。

スタートアップで働く20代若手にとって、最強の自己投資とは?

さて、ここまではハードスキルとソフトスキルを手に入れる自己投資について書いてきましたが、実は一番効率の良い自己投資というのはまた別にあります。早く言えよ、とツッコまれてそうですが。笑

スタートアップで働く20代若手にとって、実は一番効率的な自己投資というのは、「働いているスタートアップで最大の成果を出すこと」です。
これはポジショントークで言っているのではなく、本気でそう思っています。今ある環境で最大の成果を出すことに向かえば、スタートアップという環境下であれば必ずや自分資産が最大化します。
理由を述べましょう。

そもそも、スタートアップで働くという選択をした人にとって、スタートアップが掲げるミッションとその人のミッションの重なる部分があるからこそ、スタートアップを選んで入社しているんだと思います。
スタートアップが存在する意義とは、世の中にない新しい価値を創造することです。イノベーションを通じて社会課題や顧客課題を解決したり、より良い豊かなな生活を実現させるのです。そのミッションが魅力的で可能性を感じるから、人とお金が集まる構図なわけです。そして早ければそのミッションは数年で実現できるかもしれませんし、完璧な実現まではもっと長期間だったとしても、実現へ向かう過程にはたくさんの挑戦機会が用意されていることでしょう。ここに自分の時間と情熱を投資するというのは至極合理的な自己投資だと言えると思います。

そしてスタートアップが持つもう一つの側面は、「急成長する」ということです。
スタートアップにおいて、事業が成長すると比例して組織も成長していきます。年間人数が2倍や3倍になっていくスタートアップもあります。成長する組織ではどんどん人材ポストが増えていきます。事業拡大によってマネージャーポジションは増えるでしょうし、もしかしたら役員ポストも回ってくるかもしれません。新規事業担当のポジションも増えるかもですね。自ら手を上げれば、思いがけないチャンスが巡ってくるかもしれません。
優秀な人もどんどん中途入社してきます。優秀な同僚が増え、多くのことを学べる機会を得られます。

スタートアップが掲げるミッションに共感し実現を目指し、そして急成長する組織で成長機会を得ることで、最も高い自己投資のリターンが返ってくるかもしれません。

これに納得いただけたスタートアップの20代若手層には、ぜひとも今働いているスタートアップで、成果を最大化することへ自分という資本を投資してほしいなと思います。そうすることで機会が増え続けるスタートアップで、自らの大きな成長機会を手に入れることができるからです。
もちろん、今いる環境下で成果を最大化すると同時に、上記で挙げたようなハードスキル・ソフトスキルを手に入れる自己投資にも挑戦していっていただきたいなと思っています。もしかしたら出社日は成果の最大化、休日はハードスキル・ソフトスキルを手に入れる自己投資、というバランス感が良いかもしれませんね。(ちなみにぼくは基本的にそうやっています)

強いて、20代から資産運用をするなら?

と、ここまで書いておいて、ぼくが株式投資を始めたのは実は20歳のときになります。笑 おいおい株式投資して資産運用やってるじゃねーか、と怒られそうですが。笑
ここからは、強いてスタートアップの20代が資産運用をするなら、という話をしたいと思います。

強いてスタートアップの20代若手が資産運用するなら?
株    →  △ (勉強としては◎。稼ぐなら時間対効果が悪い。)
不動産  →  × (スタートアップ社員には相性悪い)
iDeCo  →  × (オススメしない。60歳まで原則引き出せないため)
NISA   → △ (株と一緒。ただ額が限られ、全く儲からない)
積立NISA or 投資信託など → △ (勉強としては○。ただ、気持ち程度しか儲からない)


  1. 評価は△です。しかし、株式投資は経済の勉強のためには悪くないと思います。ぼくも株式投資を通じてたくさん学びを得ました。しかし投資する際にたくさんの企業を勉強しないといけないし、世界経済のニュースに毎日目を光らせていないといけなくて、数十万〜せいぜい数百万円株式投資をしたとして時間対効果はたかが知れています。
    例えば仮に100万円の元手があったとして年間10%のリターンを出せたとしても年間10万円で月に1万円にもなりません。10%のリターンをコンスタントに達成するにはそれなりの時間リサーチを要しますが、その時間をかけた割には稼げないのです。それなら、働き盛りの20代のうちはその時間をむしろスキルアップに投資すべきだと言えますし、その方がスタートアップとはいえ評価も上がり、年収も上がるでしょう。
    株式投資はスタートアップで働く20代には相性の悪い投資といえるでしょう。
  2. 不動産
    評価は×です。不動産投資もスタートアップ社員としては相性が悪いです。そもそも大企業で働く人より、銀行ローンが通りづらいため、選択肢が狭まります。
    それに物件の内覧などに加え周辺環境の調査などにも多大なる時間を費やさないといけませんし、仮に不動産投資を実行したあとでも、不動産大家というのは意外と時間が奪われる立場です。
    ビルやマンション一棟買いができるような状況ならまだしも、ほとんどの人にとっては区分所有という形になると思うので、時間とリターンが釣り合いづらいと思います。それなら自己投資をした方がまだリターンが大きいでしょう。
  3. iDeCo
    評価は×です。
    iDeCoとは、いわゆる個人型確定拠出年金です。所得控除の対象になることも特長。いま我々がせっせと毎年収めている年金制度ですが崩壊することは政府も発表していることなので、個人でしっかり老後のために資産形成しておきましょうね〜というものです。また、政府が日本人のファイナンシャル・リテラシーを底上げする意味合いでもバンバンプロモーションをしているため認知度は上がってきていますが、iDeCoもオススメしません。毎月約2万円(年間24万円ほど。人による)積立で投資をしていくような内容なのですが、原則60歳になるまで引き出せないからです。いま20代の人にとって、30年以上先のことなんかわからないですよね。もしかしたら制度自体変更せざるを得ないことになっているかもしれないし、誰も予想できないです。
    また、リスク・リターンの関係というのは、常にバランスがあり、こういったローリスクな投資というのはリターンも低いです。それなら、月約2万円のローリスク投資をするぐらいなら、それこそ自己投資に回した方が自分資産が大きくなるためゆくゆく得でしょう。
  4. NISA
    評価は△です。少額投資非課税制度のことで、iDeCoと一緒にメディアなどで語られることも多いNISAですが、「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年120万円の範囲内で購入したこれらの金融商品から得られる利益が非課税になる、つまり、税金がかからなくなる制度です。株を買ったり、ETFや投資信託を買ったりもできる、投資対象商品が多い制度ですが、上限が毎年120万円なため、上述した株と同じで時間帯効果が合いません。
  5. 積立NISA or 投資信託など
    積立NISAは積立投資専用のNISAで、毎年40万円分まで非課税で投資できます。非課税対象期間は20年間です。iDeCoと違い所得控除対象にはなりませんが、いつでも引き出しは可能です。やはりローリスクで少額の運用となるためリターンが小さく、投資初心者が学ぶといった意味では良いかもしれませんが、資産運用としてはオススメできません。
    強いてやる場合、投資というよりは経済・金融の学習として割り切った上で、基準価額が高いときでも低いときでも毎月一定額をコンスタントに買っていく「ドルコスト平均法」というものを用いることがオススメです。この方法はググれば方法がいくらでも出てくるので、そちらを参考にしてみてください。

結論、やはり自己投資にリターンが勝る資産形成方法は無いと思いますし、最強の自己投資というのは、せっかくスタートアップという機会が多い環境で働いているなら、今いる環境で最大の成果を出すことに邁進してみることだと思います。

自己投資 >>>> 超えられない壁 >>>> 資産運用

20代の限られた時間そしてお金を有効的に活用すれば、きっと様々なスキルが身につきますし、それによって経験できることも増え、人生が豊かになると思います。
マクロで見ると良い人材が増え、企業や国が強くなっていくことにつながると思っています。
これはあくまでも個人的な私見をベースに資産形成についての考え方を共有させてもらいました。もちろん、異なった考えを持つ方はいるとは思いますので、あくまでも今回はぼく個人の意見として認識いただき、スタートアップで働く20代の皆さんにとって少しでも参考になれば幸いに思っています。