D2CコスメブランドGlossierが、全米の若い女性のハートを鷲掴みできた理由。

D2C(Direct-to-Consumer) マジメな話
LINEで送る
Pocket

本日紹介するのは、全米で大ヒット中のD2Cコスメブランド「Glossier(グロッシアー)」。

Glossier社は2010年創業。
創業者Emily WeissはNY大学卒業後、Vogueでスタイリストとして働き、朝4-8時に副業でブログInto The Glossを立ち上げる。ブログは1000万PVの大ヒット。
Vogueを退職し、2014年にスピンアウトブランドとして立ち上げたのがGlossierという歴史。

Glossierはシードラウンドで$2M(約2億円)を資金調達。その時の投資家はD2Cスタートアップに積極的に投資しているForerunner VenturesのKirsten Green。
2014年はブログで4つ商品をリリースすることからスタートしていて、他のD2Cブランド同じく商品数を絞ったランチェスター戦略でスタートしている。

ブランド理念は”less is more”で、過剰なメイクではなく本来の自然な美を引き出す提案をしている。
全てパラベンとアルコールが不使用で肌に優しく、動物実験を一切していない。
D2Cのメリットである「顧客接点を直接持ちフィードバックデータから商品開発を行う」ことを徹底している。

広告にはお金をかけていないというサクセスストーリーが有名で、YoutubeとInstagramを有効的に活用。
特にInstagramは160万人がフォロー。
製品の箱にたくさんシールを付属させていてユーザーはブランド名と共にタグ付けし投稿、Glossierの公式アカウントがリポストしユーザーは大満足という構図。

マーケティングの基本戦略はコンテンツマーケティング。
前述のブログ経由のユーザーの方が、経由しないユーザーよりCVRが40%も高かったということからも、ブログでショッピングモード客の囲い込みを成功している。

ポップアップストアの展開も多いが、2017年からは常設展をNYCとLAにオープン。
実店舗は全て「オンラインでの購入体験を推進するためのもの」と定義しているあたりがD2Cらしい。
実際に売上の90%はオンラインでの販売になっている。

これまでの累計売上$86Mの20%は広告からで、残り80%はブログ・消費者の口コミから。
Glossierは有名人を広告に起用したり、百貨店や量販店には卸していない。D2Cの基本である「顧客と直接接点を持つ」ことを忠実に体現しているように思う。

Glossierはこれまでに$86.4M(約90億円)の資金調達に成功。役員には今年IPOしたStitch FixのCEO Katrina Lakeも加入。

Glossierの組織戦略は「従業員の37%はテクノロジスト」。
未解決な顧客ニーズを特定するためにより適切なデータ収集を目指し、デジタル分野に特に力を入れている。顧客ニーズが特定されないと商品の開発をスタートさせないという徹底ぶり。

また、面白いのが創業期に開発を依頼していたカナダのデザインエージェンシーDynamoを今年正式に買収しているところ。Dynamo共同創業者Bryan MahoneyはGlossierのCTOに就任。30人の従業員を転籍させた。総合格闘技感のあるD2Cの買収戦略はアリかも。

先日ニューヨークに滞在した際のGlossierの店舗体験のお話も明日渋谷であるミートアップイベント「D2C inside」にてできればとおもいます。また商品も現地で購入してきましたので持参します。ぜひ楽しみにしていてください。
https://eventregist.com/e/D2Cinside01

以上、今朝はGlossierについてのお話でした。
成功したのは元々人気ファッションブロガーだった創業者の影響力が大きいとは思いますが、それだけではこれだけの成功は得られないのも確かです。
D2Cモデルで大事なタッチポイントの設計やデータ・ドリブンな商品開発を全て高度に連動させていることが、急速にファンを獲得しているところの要因だろうなと思っています。

 

本記事はFABRIC TOKYOの創業者である森雄一郎が事業研究の一環としてTwitterでツイートした内容をまとめたものです。
D2C(DTC)ビジネスモデルについてツイートしているので、よろしければフォローください。
Yuichiro Mori 森 雄一郎 FABRIC TOKYO (@yuichiroM) | Twitter

森が代表を務めるビジネスウェアのD2Cブランド「FABRIC TOKYO」では一緒に働く仲間を、ほぼ全ての部門で募集しています。
D2Cに興味がある人は、ぜひ気軽にご連絡ください。まずはカジュアルな面談からも可能ですので本当にお気軽に。
・コーポレートサイト求人一覧ページ
・FABRIC TOKYOのWantedly